ジオ・開田

☆ 開田村の化石・3 ☆

マンガンノジュール

ところで、開田村の藤沢にある採石場や、末川にある木曽カントリークラブゴルフ場の中にある採石場では、珪質泥岩などの中に、直径10〜30cmほどの黒くて堅い固まりが入っていることがあります。
これは、菱マンガン鉱の粒子が多数集合したもので、「マンガンノジュール」と呼ばれています。
このマンガンノジュールには、非常に保存の良い放散虫化石が多数含まれています。
このマンガンノジュールをつくる菱マンガン鉱を塩酸で溶かし去ると、放散虫の繊細で美しい殻を観察することができます。
マンガンノジュールに含まれている放散虫化石は、種類も豊富で、形も良く保存されているので、放散虫研究者にとってはたいへん貴重な研究資料となります。

日本でマンガンノジュールが見られるところは、他にも中生代の岩石が露出する地域で何ヵ所か知られていますが、開田村のようにまとまって多数発見された例は、岐阜県各務原市や福井県の南条山地など、日本でもごく限られた場所でしか知られていません。
しかも、開田村のマンガンノジュールには、他の地域のマンガンノジュールには含まれない種も多く含まれているので、それに含まれる放散虫化石の詳しい研究によって、中期から後期ジュラ紀の放散虫化石について多くの新しい情報が得られるだろう、と期待しています。

開田村では、マンガンノジュールだけでなく、チャートや珪質泥岩に含まれる放散虫化石も、他の地域の同時代の岩石に比べてよく保存されています。
開田村は、日本の中生代の地質を研究する上で、多くの有意義な情報を与えてくれる地域だと思います。

付加体のモデル図

 


この内容は、平成9年8月25日付 No.131『広報かいだ』 内 P.8〜P.9の記事を編集・転載したものです。
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