(6) 木曽馬の特徴と習性を知っていますか?


[Kiso Uma Photo]


体型の特徴

胸が深く、足が短く、お尻が大きく、胸幅が広く、胴が長く、腹が大きく、骨が細く
・・・という、牝馬の特徴的体型が、木曽馬の体型です。


矮小です
小型の馬です。だから食糧も少量で大丈夫。

粗食に耐えます
胴が長くてお腹が大きい・・・
という事は、腸が長く大きく、草類の繊維消化が十分なのです。

丈夫です
胸が深くて幅が広いのは、肺や心臓が発達しているからです。
胃腸の大きさとあわせて、強健で病気になりにくいとされています。

繁殖能力が高い
木曽馬は受胎・受精が容易で、よく年子を生みます。
乳の出もよく、子馬をたいへん可愛がります。

頭が低い
首と背中が水平に近く、他の馬種よりも頭が低いのが特徴的です。

耳が短大
そして、前髪は長く密生し、たてがみは粗剛で長く首側に垂れています。

単毛色
体の全体が同一の毛色です。

まん線があります
背筋の毛が黒く線になっているものです。
すべてにあるわけではありませんが、純系に多いものです。

そばつぼさんど
腰からお尻の形が、そばの実に似て三角形だ、という意味です。

後ろ足の飛節がX状に曲がっています。
横へのふんばりがきいて、急な山坂の上り下りには具合がよかったようです。

胴のびがあります
これは、丈夫で負担力が大きいということです。

蹄が堅い
農耕に使役する程度では、蹄鉄を打つ必要はありません。


● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●


精神的な特徴


温和で従順
木曽馬は、鞭や棒で叩かれた経験が全くありません。
だから、人を恐れたり、敵意を持って噛みついたり蹴ったりすることはありません。

家族の一員として1000年以上も愛育されてきた「環境の作った性格」なのです。

かしこい!
早く仕事を覚えて使い良い馬です。
・・・が、反面「こりた」ことがあると、いつまでも覚えていて、使役上困る馬もたまにいました。

気力があり根気が良い
粘り強く、ここ一番というところをやり抜きます。



働く能力からみた特徴


肢蹄や筋肉が強いこと、体格体型・精神的な要素などの要因に支配されています。


働き者です!
胸部や腹部の臓器が発達した馬で、放牧も十分ですから、筋骨・肢蹄も強いのです。
その上、おとなしいのですから、上手に仕事を覚えれば、天下一品の働き者です。



木曽馬には貴相があります。

最も注目すべきは目です。木曽馬の目は美しい!!


● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●


馬の習性


<おことわり>
ここに記したものは、獣医であり、木曽馬保存会会長でもある伊藤正起さんにご教示頂いたものですが、
馬の感覚機能の解明には、学会でも諸説あり、必ずしも定説ではないとのお言葉も附記させて頂きます。


安全な経路を見分けます

馬は、この坂は危なくて降りられないとみれば、人間がどんなに引いても押しても、
絶対にビクとも動きません。
逆に、急な坂を降りるときには、安全な場所を自分でみつけて降りるものです。

義経のヒヨドリ超えは、物語として面白く勇ましく語り継がれたものなのです。


帰そう性

動物には、その生まれ育った古巣へ帰るという本能的な習性帰そう性があります。
馬にもこの帰そう性という習性があります。

昔はよく隣村の日和田の馬を、開田や福島のお金持ちが買い上げて、
西野や末川の農家に貸し与えましたが、そういう馬が子供を生むと、放牧の時などに、
子馬をつれて、もとの家へ帰って行くことがよくあったそうです。

日和田から来た馬が、放牧中にもとの日和田の牧場へ帰っているのは、日常的だったようです。


感覚器官の能力と習性

視覚と習性

馬の眼の機能には3つの特徴があるそうです。

1.光線反射を嫌います。
昔よく、藤屋洞のスッコジ神へ通りかかると、馬が前へ進まないことがあったそうです。
土地の人は、「あそこには神様がおって、人間が馬に乗って神様より高いところを通るのを、
許さないのだ」と言っていましたが、そうではなく、光線反射があって、馬が嫌っていたようです。

2.高いところは良く見えません
馬は、女性や子供によくなつくと言われます。昔、開田村をはじめ木曽の女の人達は、
一般的に体格が小さかったので、子供同様見下げることによって相手がよく分かり、
驚かずに安心できたということによるそうです。

馬の眼は、眼の高さより低いものを見下げる機能は強いのですが、
眼の高さより高いものは、見る機能が弱いという事です。

3.近くも遠くも良く見えます
馬の眼は、近くを見る機能と同時に1Km以上も遠くの物事の動きを見る機能も備えています。
さしたる攻撃の武器がない馬は、早く逃げる為に、草を食べながらも遠くを見る必要があり、
そのような発達をしたものといわれています。

そのため、放牧されている馬が野宿をする時にも特徴があります。
必ず峰に登り、親馬達が子馬達をお尻で囲み、必ず外向に円陣をつくるのです。


火事の時、馬の頭に風呂敷きをかぶせて引き出すのは、光線を避けるためと、
近くのものだけを見せて安心させるためだと言われています。


視覚と習性

馬は人間の5倍位遠くの物音を、聞き分けることができます。

馬の耳はよく動きます。前に向けたり、後ろにむけたり自由自在です。
馬は耳を動かしながら、音波を受け止めて、遠くの物音をよく聴いているのです。

戦地では、馬が騒ぎ出したら、敵が近づいたとして警戒を強めたそうです。




『木曽馬って?』の目次へ戻る   前に戻る

『木曽馬情報』の目次へ戻る